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カバヤ歴史館 カバヤ文庫

隠れたベストセラー『カバヤ文庫』

『カバヤ文庫』は、カバヤキャラメルのおまけとして登場しました。
その第1巻第1号が出たのは、昭和27年8月3日のことでした。
『カバヤ文庫』の記念すべき第一号の題名は、『シンデレラひめ』。ペローの作品、「シンデレラひめ」「森の中のねむりひめ」「おやゆびこぞう」の3つのお話が収められていました。
以下、昭和29年の第12巻第15号まで、159冊が1週間に一冊のペースで発行されつづけました。まさに、隠れたベストセラーですね。

カバヤ文庫カバヤ文庫(クリックで拡大)

子どものカルチャー『カバヤ文庫』

鉄道写真家・旅行エッセイストである 南 正時さんの著書『オジさんの玉手箱』に、カバヤ文庫が紹介されています。

【本の紹介(南正時氏のホームページより)】
戦後すぐ生まれの著者が体験した昭和の出来事、学校生活、遊び、玩具、写真、自動車、飛行機、鉄道、映画、チャンバラ、アニメーションの創世記、SF映画の系譜、その他昭和30年代の懐かしい風俗を、私なりの生活環境で紹介しています。・・(1部省略)・・・この本は、私の執筆活動で初めて、すべてデジタル入稿したもので、古い写真などデジタル写真で蘇りました。

〈本文より〉
「あの、三ツ星の下には夢がある…兄弟力を合わせて三ツ星を目指そう…」。そのようなストーリーが幼い頃、読んだ本の中に妙に印象に残っていた。十円で売られていた小さな赤い箱に入っていた夢、それが「カバヤキャラメル」だった。
カバヤキャラメルを買うと中には「文庫券」が一枚入っていた。その文庫券が五十点たまるとカバヤ文庫一冊がもらえるのだ。点数もいろいろあり、ラッキーカードは五十点で、それを当てると文字通りの大当たり。私は大当たりを 引いた経験はなく、こつこつ一個十円のキャラメルを買って点数を集めた。
やがて五十点たまると、岡山のカバヤの本社に点数を郵送して、一日千秋の思いで、カバヤ文庫を待った。半月ほどで本が届いた。それが「三ツ星の彼方には、幸がある…」という物語の読み物だった。
カバヤ文庫は、岡山県のカバヤ食品のキャラメルのおまけだったのである。当時、お菓子などの景品は玩具などが多い中にあって、唯一の教育的価値の高い景品で、これは学校や親たちも公認していた。カバヤ文庫を自慢げに学校に持っていっても私物検査でハネられることもなく、「カバヤキャラメル買うから…」というと親も、「仕方ないわね」といいつつ十円くれた。たしか、学校の図書室には、PTAから寄贈された「カバヤ文庫」が揃っていた…と記憶している。
「カバヤ文庫」の第一巻第一号が出たのは、昭和27年8月3日である。ペローの三つの作品のなかから、「シンデレラひめ」「森の中の眠りひめ」「おやゆびこぞう」を収めたその本は、『シンデレラひめ』という題名だった。第一巻十二冊は「カバヤ児童文庫」、第二巻以降は「児童文庫」と名付けられて、それを「カバヤ文庫」と呼んでいた。同文庫はB六判で本文百二十五ページ、ハードカバーで、針金とじの本だった。昭和29年の第十二巻第十五号まで、百九冊が週間のペースで発行された。実際の製作は昭和27、8年の両年であり、29年の奥付けを持つ第十一・十二巻の本も、前年のうちに作られていたらしい。昭和29年の廃刊までに二千五百万部が発刊されたという。
内容といえば、世界名作モノのダイジェストで著者編者も明らかにされていないが、一説によると大学生や教師たちがアルバイトで執筆していたともいわれているが、それは明らかではない。
当時、カバヤ文庫の人気は、岡山の工場から直接貨物列車によって、毎日大量に出荷され、カバの形をした宣伝カーが日本中を巡回して、カバヤキャラメルをPRしていたのである。
そのカバヤキャラメルは、カバヤ文庫以後、映画の「七色仮面シリーズ」の人気にあやかり、カバヤココナツキャラメルが登場して、文字合わせで景品が貰えたが、カバヤ文庫のように熱心に集めるということはなかった。
ある「評論家」はカバヤ文庫を、「読者運動が盛んな今なら、総スカンを食うような典型的な悪書」と述べているが、少なくとも私の時代では、夢を育む「良書」であり、私の読書意欲を駆り立て、現在の仕事にも大きな影響を与えたのであった。

オジさんの玉手箱『オジさんの玉手箱』
ISBN4-7567-2420-5
著者 : 南 正時
発行所 : 桜桃書房
定価 : ¥1,429

カバヤ文庫が読める!

岡山県立図書館のご尽力によりカバヤ文庫全編がデジタル化されました。 同センターのホームページにて公開されており、インターネットを通じてどなたでも閲覧できます。
下のリンクから「カバヤ文庫」の項目をお選びください。

デジタル岡山大百科
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